信用取引
しんようとりひき
証券会社から資金や株式を借りて行う取引。現物取引より大きなポジションを取れるが、追証リスクや金利コストが発生する
信用取引 (Margin Trading) は、投資家が証券会社に委託保証金を差し入れ、資金 (買建) または株式 (売建) を借りて行う取引である。委託保証金率は制度信用取引で最低 30% と定められており、約 3.3 倍のレバレッジが可能になる。信用買い残と信用売り残の差 (信用倍率) は市場のセンチメント指標として広く参照される。日本の信用取引は「制度信用」(返済期限 6 ヶ月、取引所が貸借銘柄を指定) と「一般信用」(証券会社が条件を個別設定) の 2 種類がある。
制度信用と一般信用
制度信用取引は取引所の規則に基づき、返済期限 6 ヶ月、貸借銘柄は証券金融会社が融資する。金利 (買方) は年 2-3% 程度、貸株料 (売方) は年 1-2% 程度である。一般信用取引は証券会社が独自に条件を設定し、返済期限が長い (無期限の会社もある) 代わりに金利が制度信用より 0.5-1% 高いことが多い。一般信用では制度信用で「空売りできない」銘柄も売建できる場合がある。
追証 (追加保証金) の仕組み
信用取引では委託保証金維持率 (通常 20-25%) を下回ると追証が発生し、翌々営業日までに保証金を追加入金するか建玉を決済する必要がある。追証が払えない場合は証券会社が強制決済を行う。2008 年のリーマンショック時や 2020 年 3 月のコロナショック時には追証の連鎖が発生し、保証金維持率を大幅に割り込んだ投資家が損失確定を余儀なくされた。レバレッジは利益を拡大する反面、損失も同様に拡大するため、資金管理の厳格さが求められる。
信用残と需給分析
信用取引の買い残 (融資残) は将来の売り圧力、売り残 (貸株残) は将来の買い戻し圧力として解釈される。信用倍率 (買い残 ÷ 売り残) が 3 倍を超えると買い残が過大で上値が重いとされ、1 倍以下は売り残優位で踏み上げリスクがあるとされる。ただしこれは経験則であり、信用残だけで株価の方向性を予測することは困難である。東証は毎週金曜日に前週分の信用残を銘柄別に公表しており、投資家はこのデータで需給の偏りを観察できる。